共感覚とは
共感覚とは、1つの感覚の刺激により、別の知覚が無意識に引き起こされる知覚現象のことです。共感覚にはたくさんの種類があります。
「黒色の文字にカラフルな色を感じる」、「音に色を感じる」、「味に形を感じる」、「月や曜日など時間単位に色や形を感じる」
などです。
「黄色い声」や、「甘い匂い」など、複数の知覚を結びつけるような比喩表現は昔からあります。ですが、共感覚はこれらの比喩表現とは
全く違い、本当にそこにあるかのように「感じる」と言われています。
共感覚はとても珍しい知覚現象です。共感覚を持つ人の割合は、数万人に1人、2000人に1人、数百人に1人など諸説あります。
共感覚の定義が研究者により様々であるため、このような差が生じてしまっています。また、共感覚の種類によっても
持つ人の割合は大きく違います。
共感覚の中でも、「文字に色を感じる」共感覚や、「音に色を感じる」共感覚は比較的たくさんいると考えられています。
過去の著名な芸術家の中には、共感覚者だったと伝えられる人物も数多くいます。作曲者のリストは、オーケストラに、「もう少し青っぽく」
という指示をだした記録が残っています。
他にも、作曲家のメシアン、画家のムンクなども共感覚者だったのではないかと言われています。
果たしてこれらの人物には本当に共感覚があったのでしょうか?
それは誰にも分かりません。過去の偉人の中に共感覚的な表現をしている人物はたくさんいます。
ですが、それが果たして本当に共感覚によるものなのか、それとも崇高な比喩表現なのかは本人に聞いてみないと分かりません。
元々、芸術家と比喩表現とは切ってもきれない関係にあります。これは私個人の意見ですが、
芸術とは自分の内面を表現する究極の比喩表現だとも言えます。そもそも、共感覚と比喩表現を分けて考えることが正しいのかどうか
も分かりません。
これまで挙げたような文章を見ると、共感覚は自分に全く関係ない遠い世界の話だと思われたかもしれませんが、それは違います。
小さい頃、音に色を当てはめた記憶がありませんか? 初めて見る景色に驚き、言葉にできない感情を覚えたことはありませんか?
今は忘れていても、誰しも一度はこのような経験をしたことがあるはずです。
この感覚こそが、共感覚の根源なのではないかとも考えられています。このように、共感覚とは、幼い頃に誰しもが持っている能力なのです。
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