このページでは、共感覚の科学的で詳しい説明を行っています。
簡単な解説をご覧になりたい方は、『共感覚とは』 もご覧になってください。

共感覚の詳細な解説 目次

共感覚の従来の見解
共感覚の特徴 ←今はここ
 シトーウィックによる共感覚の5つの特徴
 ハリソンによる共感覚の4つの分類定義
共感覚の発生原因
共感覚の発生頻度
共感覚と遺伝との関連
共感覚の個人間の相違
共感覚者の脳活動計測
参考文献

共感覚の特徴

共感覚には、「音→色」、「文字→色」、「味→形」、「匂い→形」、「時間単位→色」等の多くの種類が報告されている。 いずれの共感覚も、外的な兆候が何もなく、共感覚があると主張する人の言葉を通してのみ知りうるため、 その人が本当に共感覚を持っているのか確認するのは容易ではない。

現在主流となっている共感覚の定義は、リチャード・E・シトーウィック、サイモン・バロン=コーエン、ジョン・ハリソンらの功績によるところが大きい。
ここでは、それぞれが定義した共感覚の定義について述べる。

シトーウィックによる共感覚の5つの特徴

神経学者のリチャード・E・シトーウィックは、1993年に出版された本の中で、共感覚の診断のために主要な5つの特徴を提示した[1]。 以下にその要約を示す。
この5つの特徴の中には、現在では有効性が疑問視されているものもある。だが、共感覚という現象の特徴を的確に表現した例として、 今でも学ぶべき点は多い。

1. 共感覚は不随意的だが、誘引されるのは間違いない

共感覚は刺激なしに意志の力で発生させることは出来ず、当該刺激によって誘発される。何かに没頭しているときは共感覚があまり目立たず、 リラックスしているときに意図的に注意をむけると鮮明になるということはある。それ以外は、共感覚の知覚を自分で変化させることはできない。

2. 共感覚は投影される

誘発される感覚は心の中のイメージとして生じるのではなく、個人空間(体の回りの空間)で感じられる。 例えば視覚の共感覚なら、顔の近くに感じられる。

3. 共感覚の知覚は持続的、個別的、総称的である

持続的であるとは、共感覚者の感覚の結合は、生涯続くことを指す。その人にとってある音が青なら、それはつねに青のままである。
個別的であるとは、音と色、味と形などの組み合わせ課題を行うと、共感覚者が同じ刺激に対して選ぶのは、 1つかせいぜい2、3種類であるという意味である。また、共感覚者が体験する感覚は独自の「署名」のような性質をもっており、 音に形を感じる共感覚者にとっては、その音に感じる形こそがその音を表しており、聴覚と形を明確に区別するものはない。
総称的であるとは、誘発される感覚は単純であるという意味である。しみ、線、渦巻き、格子といった形。つるつるした、ざらざらした質感。 塩味、甘味。対称的な反復図形などである。これらのような基本的で単純なレベルを超えるものは、共感覚ではなく、幻覚や白昼夢に近い心象である。

4. 共感覚は記憶に残る

共感覚は、しばしば引き金となった刺激よりも強く記憶に残り、記憶の強化に繋がる。

5. 共感覚は情動的、認識的である

共感覚者は自分が知覚しているものが現実であるというゆるぎない確信を持っている。

ハリソンらによる共感覚の4つの分類定義

次に掲載するのは、サイモン・バロン=コーエンとジョン・ハリソンにより公表された、共感覚の4つの分類定義を抜粋し、簡約化したものである[3]。
この分類は、従来は同じものとして扱われてきた、共感覚的比喩、薬物による共感覚を、先天性の共感覚とは別のものとして分類している点が 新規的であると言える。

1. 発達性(先天性)共感覚

発達性共感覚のほとんどには、次のような特徴が見られる。
1.幼児期、それも四歳以前に、はじめてその徴候が見られる。
2.幻覚、妄想、もしくは精神病に伴ういかなる現象とも異なる。
3.想像力により生み出された空想とも異なると言われている。
4.薬物使用により誘発されたものではない。
5.鮮明である。
6.自動的、不随意的に現われる。
7.習得されたものではない。

2. 共感覚的比喩

共感覚的比喩とはある感覚を別の感覚の用語で表現する芸術的・言語的手法のことをいう。一例として、 詩人エドガー・アラン・ポーは「アル・アーラーフ」の中で、「灰墨色のたそがれのひそやかな呟きを」と詠い、光景を音として表現している。 表現方法の一つとしてこの手法を活用する人のほとんどは、先天性共感覚を体験しない人であり、作家や画家など、 この手法を用いる人を先天性共感覚者とみなすべきではない。

3. 後天的共感覚

後天的共感覚は神経的機能不全や肉体への大きな変化に起因するもののこという。後天性共感覚は頭部損傷や脳腫瘍により生じるもので、 負傷前には経験することのなかった感覚の融合を経験するようになる。もっとも後天性共感覚は、アルファベットや数字、音楽といった、 組織的な構造のものに色が伴うなどの体系的な現象ではなく、大きな音がすると色が見えるなど、突発的に起こるものである。

4. 薬物性共感覚

大麻やLSDといった精神に影響を及ぼす薬物は、正常な状態では共感覚を経験しない人にも、同様の知覚様式を誘発する。 だが後天的共感覚と同様、先天性共感覚のような、体系的で一貫性のある共感覚が得られることはまれである。薬物性共感覚ではたとえば、 大きな音はある時には黄色を伴い、別の時には青となる。また、薬効が切れれば、共感覚も体験しなくなる。

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